• Takanabe Ear . Nose & Throat Clinic

鼻づまり

 鼻づまりは慢性化すると息苦しさ、匂いがわからなくなる、いびきをかくなどで生活の質を下げるだけでなく、健康への悪影響をおよぼす可能性があります。鼻がつまって口呼吸になるとかぜやインフルエンザへの感染リスクが高くなります。また脳や全身への酸素が不足して集中力が低下したり、疲れやすくなります。子どもの場合には、身体の成長や学業に影響する可能性もあります。
 鼻づまりを起こす原因では、炎症による粘膜の腫れ、鼻茸、粘り気の強い鼻水が多くなっています。疾患ではかぜやアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などがあります。子どもの場合には、アデノイドが後ろからふさいでいるケースもあります。
 なお、片側だけ鼻がつまっている場合は、鼻の穴の左右を分けている鼻中隔が大きく弯曲している鼻中隔弯曲症であるケースが多いです。
 鼻づまりがある場合、原因と状態に合わせて治療を行います。粘膜の腫れがある場合には鼻の処置やネブライザーによる治療を行い、薬を処方します。また当院では鼻づまりの日帰り手術を行っております。

鼻水

 水のような鼻水はかぜやアレルギー性鼻炎が主な原因です。熱があればかぜ、くしゃみが出る場合はアレルギー性鼻炎の可能性が高いと言えます。黄色っぽく粘度の高い鼻水が出る場合には、副鼻腔炎が疑われます。いわゆる蓄膿症と呼ばれる病気で、早めに適切な治療を受けることが重要です。特に子どもは身体の成長や学業への悪影響が出ないよう、早めに受診するようにしてください。
 なお、子どもの場合、鼻の中に何か入れてしまってそれが詰まり、鼻水を出している可能性があります。子どもは好奇心旺盛ですから異物を鼻に入れてしまうケースは珍しくありません。無理に取ろうとすると粘膜を大きく傷付けてしまったり、奥に押し込んでしまう可能性がありますので、必ず耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。

 ※当院で行っている舌下免疫療法はダニ、あるいはスギ花粉アレルギーに有効な治療法です。アレルギー物質を少量含んだエキスや錠剤をゆっくり体内に吸収させて、少しずつ症状を緩和させていきます。通常は治療開始から3ヶ月程度で効果が現れはじめますが、治療期間は最低3年必要であり、4~5年の継続治療により7~8年の効果が持続すると報告されています。なお、スギの花粉症では、花粉の飛散シーズンに治療をスタートすることができないため、5~12月の治療スタートとなります。ダニは通年性ですから治療スタート時期に制限はなく、いつでも治療をはじめられます。

 当院では治療に使用する薬として、スギ花粉症にはシダキュア、ダニアレルギーにはミティキュアを処方しています。またアレルゲンを少量とはいえ体内に吸収させるため、まれですがアナフィラキシーショックという重篤な副作用を起こす可能性があります。アナフィラキシーショックは投与から30分以内に起こるため、リスクの高い初回服用は院内で行って30分ほど過ごして様子をしっかり確認しています。

 その後は継続して毎日の服用が必要です。アレルギー症状はゆっくり、少しずつ軽減していきます。ほとんどの場合、服用3ヶ月を経過すると効果を感じられるようになります。最低3年以上継続して毎日服用するため、その期間は定期的な通院が必要です。症状が緩和してきたら、薬の量を減らしていきます。

 ※副鼻腔は鼻の周りに存在する粘膜で覆われた左右8つの空洞です。副鼻腔は鼻腔とつながっていて、鼻から入った空気を加温、加湿、除菌する機能を持っています。
 副鼻腔炎は、かぜなどのウイルスや細菌、真菌(カビ)などの病原体に副鼻腔の粘膜が感染して炎症を起こしている状態です。副鼻腔に直接病原体が感染する場合もありますが、鼻腔粘膜の炎症が副鼻腔に広がって発症するケースもあります。
 副鼻腔の粘膜が腫れてしまうと分泌物の排出ができなくなって、不快感や悪臭、痛みなどの症状を起こします。急性副鼻腔炎の場合は、適切な治療を受ければほとんどが1~2週間で治ります。放置したり、途中で治療をやめてしまうと炎症を繰り返して慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を発症してしまいます。鼻吸引や鼻洗浄の処置とネブライザー療法を続けることで副鼻腔内をきれいに保ち、できるだけ早く治るようにします。ネブライザーは超音波を利用して薬剤をとても細かい霧状にして、複雑な構造をした副鼻腔のすみずみまで薬剤を届けます。炎症を効果的に和らげることができます。

 鼻茸とは鼻にできる良性のできもので、慢性副鼻腔炎で生じやすい症状です。鼻詰まりを悪化させ、副鼻腔炎を治りにくくするため、適切な治療が重要です。通常の副鼻腔炎治療を行いますが、サイズや位置など状態によっては切除が必要になる場合もあります。

 保存療法では十分な効果が得られない場合には、手術を検討します。内視鏡による負担の少ない手術が可能で、出血や術後の痛み、顔の腫れを抑えることができ、切開範囲も最小限にできます。

くしゃみ

 鼻は中に異物が入ると知覚神経が刺激され、異物を外に出すために反射的にくしゃみを出します。正常な防御反応ですが、かぜやアレルギー性鼻炎、花粉症などでくしゃみが続くことがあります。鼻水、熱、目のかゆみ、だるさなどがあった場合には、鼻炎やかぜの可能性がありますので、悪化させないうちの受診をおすすめします。

匂いがわからない(嗅覚障害)

 匂いを感じとる部分に匂い分子が到達できない、あるいは匂いを感じとる部分がダメージを受けると嗅覚障害を発症し、匂いがわからなくなります。この場合、まずは原因となっているかぜや副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症などの治療を行う必要があります。また、静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト)を初診時に行うことが多いですが、その結果で直るか治らないかの予後の推測も可能です。

 ※嗅覚障害の原因として好酸球性副鼻腔炎が増えてきました。慢性副鼻腔炎の病態は多様化してきています。以前は感染の遷延化が原因の慢性化膿性副鼻腔炎が主体でしたが、近年、好酸球性炎症が主体の副鼻腔炎が増加傾向にあります。好酸球とは、免疫細胞である白血球の1種で、アレルギーを起こした時に増加する細胞です。好酸球性副鼻腔炎とは、この細胞が副鼻腔粘膜に過剰に集まってくるのが特徴です。
 主な症状は黄色いニカワ状の粘り気のある鼻水、匂いがわからなくなる嗅覚障害、多発性の鼻茸があげられます。
好酸球性炎症の病態はアレルギー炎症とは一線を画しており、原因やメカニズムは不明な点が多いですが、血中、局所粘膜の好酸球が増加しているのが特徴です。これは2015年に指定難病となった病気で治療してもその後放置すると再発しやすい傾向にあります。

鼻血

 鼻の粘膜には豊富な毛細血管があって、それが傷付いて出血を起こしています。外傷以外でも、特に思い当たる原因なく鼻血が出ることがあります。高血圧では血管が傷付きやすく出血しやすい傾向があり、鼻内の腫瘍によって出血している可能性もあります。鼻血の程度、原因によって、硝酸銀塗布や電気凝固、ガーゼ留置や手術等の治療方法を決定し行います。

鼻が臭う

 鼻のにおいが気になる、ドロッとしたくさい鼻水が出るなどの場合、副鼻腔炎(蓄膿症)の可能性が高いと言えます。近年は減少傾向にありますが、副鼻腔炎はまだまだ患者数が多い病気です。細菌やウイルスに感染して起こりますが、虫歯の炎症から副鼻腔炎を発症しているケースもあります。副鼻腔炎は慢性化する前に治療することが大切です。当院では慢性化している副鼻腔炎の日帰り手術も可能です。

後鼻漏(こうびろう・鼻水が喉に流れる)

 鼻水は鼻の穴から出てくるだけでなく、中から喉の方に流れてしまうことがあります。これは生理的な現象ですが、量が増える・粘度が増して付着するなどを起こすと不快感が生じ、口臭や痰の原因にもなります。多くは副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎で起こりますが、鼻の一番奥と接している上咽頭の炎症によって起こっていることもあります。疾患の治療とともに、鼻の洗浄などの処置で状態を改善させます。鼻洗浄は鼻うがいとも呼ばれ、生理食塩水を使ってご自分でされる方もありますが、鼻粘膜や耳にダメージを与える可能性があるので耳鼻咽喉科で指導を受けてから行うようにしましょう。当院では初回時には、医師や看護師が必ず手伝って、一緒に行うようにしています。