• Takanabe Ear . Nose & Throat Clinic

咽喉頭

扁桃肥大・アデノイド肥大

口蓋扁桃は、成長によって大きさが変化します。3歳頃に大きくなりはじめ、大きさのピークを迎えるのは7歳頃、その後は小さくなっていきます。口蓋扁桃が大きくなる時期に肥大を起こすと呼吸障害という深刻な症状を起こすことがあります。また、飲み込みに関する障害、いびきや睡眠時無呼吸、慢性的な睡眠不足などの睡眠障害を起こす可能性があり、成長や学習に支障をおよぼすこともあります。
扁桃肥大は保護者の方が子どもの症状に気付いてあげることが重要です。いびき、食べるのが遅いなどの様子が見られたら早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
診察では、口蓋扁桃の大きさだけでなく、肥大による症状の程度をしっかり調べることが重要です。症状が強い場合には、扁桃摘出術の手術が可能な信頼できる高度医療機関をご紹介します。

アデノイドは鼻の一番奥、喉との間の上咽頭にあるリンパ組織のかたまりです。口蓋扁桃のように成長によって大きさが変化し、2歳頃に大きくなりはじめ、大きさのピークを迎えるのは6歳頃、その後は小さくなっていきます。口蓋扁桃より成長が1年ほど早い傾向がありますがほぼ同じように変化していきます。アデノイドが肥大すると急性中耳炎を繰り返して慢性化させやすく、鼻声、鼻詰まりや口呼吸、いびき、睡眠時無呼吸などの症状を起こすため、成長や学習への悪影響につながる可能性があります。かぜが治ってからも鼻詰まりや口呼吸、いびきなどが続く場合には、耳鼻咽喉科の受診が必要です。保護者が普段の様子を観察して、症状があてはまるようでしたら、できるだけ早くご相談にいらしてください。
診察では問診や視診、レントゲンなどで肥大の程度を観察し、鼻や喉の通りの状態を確認します。内視鏡を用いて観察することもあります。アデノイド肥大があっても症状がなければ経過観察だけで大丈夫です。ただし、中耳炎や副鼻腔炎を繰り返しやすく、慢性化させてしまうと治すのが大変になっていきます。しっかり診察を受けて、問題がないか確かめるようにしてください。

のどの痛み

のどの炎症で神経が刺激されて痛みを起こします。かぜ、咽頭炎、扁桃炎、扁桃周囲膿瘍、喉頭炎、急性喉頭蓋炎などがあります。特に強い痛みを生じやすいのは、扁桃炎や扁桃周囲膿瘍で、飲み込む際に強く痛みます。急性喉頭蓋炎の場合は呼吸困難を起こす可能性があるため、息苦しさや呼吸しにくさがあったらできるだけ早く受診してください。

※急性咽喉頭炎とは鼻から喉にかけての咽喉に起こる急性の炎症です。咽頭粘膜やリンパ組織の急性咽頭炎、喉頭粘膜の急性喉頭炎など患部の場所によって名称が異なり、それぞれ治療法や治るまでの期間に若干の違いがあります。主な原因はかぜのウイルスですが、進行して細菌感染を合併することもよくあります。はじめから細菌感染によって発症することもあります。それぞれ治療法が少しずつ異なります。
急性咽頭炎で細菌感染が疑われる場合は抗生剤、ウイルス感染のみと考えられる場合は喉の炎症を抑える薬を処方し、ネブライザー治療も有効です。適切な治療を受けて安静を保つことでほとんどの場合、2週間以内に治ります。
急性喉頭炎も急性咽頭炎と同じ治療を行います。ただし、治るまで比較的長い期間が必要になります。ほとんどは1~3週間かかり、1ヶ月以上を要するケースもあります。

扁桃炎の扁桃とはのどの中の一番奥、口蓋垂(のどちんこ)の左右に1つずつあるのが口蓋扁桃です。扁桃炎は、口蓋扁桃に細菌やウイルスが感染して急性の炎症が起こっている状態です。高熱と強い喉の痛みが現れます。1年に複数回の扁桃炎を繰り返す場合は、慢性扁桃炎と呼ばれます。
扁桃炎の症状は、高熱、寒気、頭痛、関節痛、全身の倦怠感があり、喉の痛みが強いのが特徴です。喉を観察すると、奥の左右が赤く腫れているのがわかります。
診察では症状をうかがった上で口を開けてもらって喉を観察します。血液検査で白血球の数や炎症の程度を調べ、尿検査で脱水などが起きていないかを確認します。必要があれば細菌培養検査を行って適切な抗生剤を選びます。
ウイルスが原因で起きている場合、高熱であれば解熱剤を用い、安静を保つことで回復を待ちます。ほとんどの場合、1週間程度で治ります。うがいをこまめに行うことも重要です。細菌が原因の場合には抗生剤を用います。その上で症状に合わせて解熱剤、消炎鎮痛剤などを処方します。
慢性扁桃炎の場合、保存的な治療で十分な効果を得られない場合や、頻繁に炎症を繰り返す場合には扁桃切除の手術も検討します。

※耳下腺炎や唾液腺炎とは耳の前から下にかけての耳下腺、耳の下にある顎のさらに下の顎下腺の炎症です。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などウイルスや細菌の感染が主な原因ですが、それ以外の原因で起こることも珍しくありません。唾液腺炎を合併すると唾液の機能低下が起こります。唾液は、抗菌、粘膜保護、消化など多くの作用を持っているため、唾液の機能低下によって口内の状態が一気に悪化する可能性があります。
耳の前から顎下の部分にかけて、炎症が起こっている場所の痛みが起こり、唾液が減るため口内が乾燥しやすくなって飲み込みにくさにつながります。また、発熱や寒気も生じます。問診と患部の観察、血液検査や超音波検査などを行って診断します。ウイルスが原因の場合には安静を保ち、症状に合わせて解熱剤などを処方します。患部を冷やす、こまめにうがいをするのも重要です。細菌性の場合には抗生剤も用います。

※口内炎とは口内やその周辺の粘膜に起こる炎症で、ビタミンの不足、疲労、ストレス、誤って噛んでしまうなどの外傷、全身疾患など、口内炎ができる原因はさまざまです。炎症部分に熱いものや冷たいものがしみる、食べ物が触れると強く痛むといった症状があり、悪化すると食事できなくなることもあります。診断では問診と炎症の観察を行います。頬や唇の内側、歯ぐき、舌など口内炎ができた場所、多発や繰り返しできていないか、治りにくさなども診断には不可欠な要素です。全身性の疾患が疑われる場合には血液検査などを行います。診断をもとにステロイド薬や抗菌薬、ビタミン剤の投与など原因や状態に合わせた治療を行っていきます。原因疾患が見つかった場合には、その治療も行います。

のどの違和感・異物感

異物感、詰まった感じなどの違和感がある場合、咽頭炎・扁桃炎・喉頭炎などの炎症が原因の可能性があります。また逆流性食道炎など消化器の異常によって違和感が起こることもあります。まれですが、喉頭がんや咽頭がんの初期症状として喉の違和感が起こっている可能性もあります。「痛くないから」と放置せず早めに耳鼻咽喉科を受診してください。また、器質的な疾患がない咽喉頭異常感症でこうした症状を起こすこともあります。これは心身症の1種であり、悪化させないためにも早期の受診が重要です。

声枯れ

声枯れは、かぜや喉頭炎などの炎症で起こることがよくあります。病気が治るにつれて声枯れの症状も緩和していきます。注意が必要なのは、声帯ポリープ、声帯結節、喉頭がん、下咽頭がん、反回神経麻痺などによる声枯れです。声枯れが続いて症状が緩和しない場合には、できるだけ早く受診しましょう。

※声帯結節の主な原因は、声の使い過ぎです。声を出す際には、左右の声帯がぶつかっているため、何度も繰り返し強くぶつかると声帯の両側に結節ができます。鉛筆で指にタコができるのと同じように、声帯も使い過ぎるとタコのような結節ができてしまうのです。保育士、教師、スポーツのコーチ、歌手、アナウンサーなどの職業は発症が多い傾向があり、カラオケやスポーツ観戦など大声を繰り返す趣味も声帯結節のリスクになります
主な症状は声枯れや声を出しにくくなるなどです。診察では問診でお話をじっくりうかがって、内視鏡で声帯を観察します。
治療は変声期を迎えるまでの小児と成人では異なります。小児は変声期を過ぎると自然に治る傾向があるため、生活や学業に支障がなければ経過観察と発声方法などの指導が主になり、手術はあまり行われません。成人では、数ヶ月の保存療法や発声指導などで改善しない場合には手術も検討します。

※声帯ポリープの原因は声帯粘膜の毛細血管が傷付いて出血を起こして声帯にポリープができます。声帯結節と違い、左右の声帯の片方だけにできるケースが多くなっています。原因には、声の出し過ぎ、喫煙、そしてかぜなどによる声帯炎などがあります。診察では問診でお話をじっくりうかがい、内視鏡で声帯を観察します。
治療では声を使い過ぎないこと、禁煙が重要です。そのため、発声法のご指導などもわかりやすく丁寧に行っています。急性声帯炎などでできたばかりの声帯ポリープは適切な治療で比較的早く消失する可能性がありますが、それ以外の原因でできてからある程度時間が経過している声帯ポリープを短期間で小さくするのはかなり困難です。保存療法を数ヶ月続けても日常生活に支障がある場合には手術の検討は必要です。

咳・痰

1~2週間程度の咳が続く場合、ほとんどはかぜや急性喉頭炎・急性気管支炎が原因となっています。それ以上の期間に渡って咳が続く場合には、喉頭アレルギー、血圧の薬の副作用、咳喘息、慢性気管支炎、肺結核、肺がんなどの喉や気管、肺の疾患によるものや、逆流性食道炎の可能性があります。痰は呼吸器である気管などの粘膜を守るために分泌されている液体が増え過ぎてかたまりになり、それが排出されたものです。かぜや気管支炎、気管支喘息、咽頭炎、喉頭炎などが原因で痰が増えることはよくあります。咳や痰が2週間以上続く場合には、必ず耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。

痰に血が混じる

気管や肺などの呼吸器、鼻、歯ぐき、喉、食道などの消化器からの出血によって、痰に血が混じることがあります。鼻や口、喉に出血の原因があるかどうかは耳鼻咽喉科の内視鏡検査でわかります。こうした検査で異常が確認できなかった場合には、消化器科や呼吸器科の受診が必要になりますので、信頼できる医療機関をご紹介しています。

飲み込みにくい・飲み込めない

飲み込んだ飲食物は、のどから食道を通って胃に届きます。飲み込みにくい症状はこの通り道のどこかが狭窄している、あるいは飲み込むための筋肉が弱くなっていて起こります。また、炎症による腫れがあって飲み込みにくくなることもあります。咽頭がんや食道がんなどの悪性腫瘍の可能性もありますので、できるだけ早く受診してください。
むせる症状は、喉から気管と食道に分かれる喉頭で食道に入るべきものが気管に入ってしまって起こります。飲食物が気管に入ってしまうことは誤嚥と呼ばれ、肺炎リスクが高い状態です。特に高齢者は誤嚥を起こしやすい傾向にあります。当院では嚥下内視鏡検査(VE検査)をルーチンに行い、治療方針についてアドバイスします。

いびき

睡眠中に喉が狭くなり、そこが呼吸によって振動していびきが起こります。無呼吸をともなうと睡眠時無呼吸症候群となり、慢性的な睡眠不足によって事故リスクが高くなり、健康への悪影響も大きい危険な状態です。副鼻腔炎(蓄膿症)など鼻が詰まる疾患があるといびきをかきやすくなります。また肥満や過度のアルコール摂取、顎の位置などもいびきや睡眠時無呼吸症候群のリスクになっています。治療で改善できますので、早めにご相談ください。自宅で検査機器を装着していびきや無呼吸の程度を一晩計測するPSG検査とCPAP(持続陽圧呼吸療法)療法の処方も行っております。

※いびきとは睡眠中に上気道が狭窄することによってのどから発生する音です。
閉塞がひどくなるといびきだけではなく就寝中に呼吸が止まり、睡眠時無呼吸症といわれる病気となることがあります。
英語では”Sleep Apnea Syndrome”という疾患名で、”SAS”と表記されることもあります。睡眠中に呼吸が10秒以上止まる気流停止の状態を『無呼吸』と呼び、それが1晩に30回以上ある、あるいは1時間あたり5回以上ある場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
無呼吸が起こってもほとんどの場合は自覚症状がないため、知らずに症状を起こしているケースがとても多くなっています。身近な人にいびきや無呼吸を指摘されたら、耳鼻咽喉科を受診してください。
睡眠時無呼吸症候群は、脳や全身が酸素不足を起こして深刻な病気のリスクを上昇させ、睡眠の質や量が大幅に低下して日中に抵抗できない強い眠気が襲ってくるため大きな事故の原因になることがあります。また、集中力が低下するなど、仕事や学習をはじめ、日常生活に悪影響をおよぼしやすく、スポーツのパフォーマンスも下がってしまいます。
下記のような症状に少しでも心当たりがあるようでしたら、早めに受診して検査を受け、適切な治療によって快適で健康な生活を取り戻しましょう。

当院では睡眠時無呼吸症候群の簡易検査を行っております。ご自宅で検査機器を装着して1晩眠る検査です。センサーを鼻や指に張り付け、あとは普段通りに眠るだけです。痛みなどは一切ないため気軽に受けていただけます。この検査によって睡眠中の呼吸状態、血中酸素飽和度などを1晩測定することで無呼吸や低呼吸の有無・頻度などを調べることができます。なお、精密検査の必要があれば専門の検査施設等に紹介し、入院して検査を行います。

CPAP療法を日本語では、経鼻的持続腸圧呼吸療法と呼びます。睡眠中に鼻から常に空気を送り込んで気道が開いた状態を保ち、呼吸できない状態になるのを防ぎます。マスクを装着して眠るため、息苦しいようなイメージを持つ方が多いのですが、とても楽に呼吸できるようになって熟睡できます。送り込まれる空気の圧は微妙にコントロールされていますし、停電が起きても停止しない機能を備えているため、安心して治療を受けられます。
治療効果が高く、現在では日本、アメリカ、ヨーロッパでは睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療法となっています。